初回
前回
青森方面へ引き返します。折り返し便には私と、もう1人男性、あと地元のお婆さんが乗っていました。
お婆さんが車掌さんとダイヤが変わる件について話していたのですが、車掌さんが放送は標準語なのに、お婆さんとは方言で話していてグッときました。
めちゃくちゃ睡眠不足だったので気付いたら寝てしまっていました。車掌さんに起こされて蟹田に着いたことに気付きました。慌てて乗り換えたので折り畳み傘を落としてしまったのですが、車掌さんが持ってきてくれました。小さなローカル線ですが、そのぶん温かくて優しい雰囲気です。
ちょうど海に出たところで太陽が出てきました。この後行くのは日本海なので少し悪めの今くらいの天気が持続してほしいところです。日本海は天気が悪くて荒れていた方が美味しいですよね。
2分の乗り換えで奥羽本線へ。津軽線の電車と同じタイプの車両でした。
川部という駅で乗り換え。ここからは五能線という路線に乗ります。五能線は旅好きの間では有名な路線で、楽天トラベルによる「旅行好きが選ぶ、おすすめのローカル線ランキング」ではぶっちぎりの1位を獲得しているほか、数々の賞を総なめしている路線です。「日本一乗りたいローカル線」とも言われています。果たしてその実力は……?
車内は思いのほか混雑していましたが、何とかボックスシートを確保することができました。列車は川部駅を出てから青森らしいリンゴ畑の中を走っていきます。
五所川原駅に到着。有名な津軽鉄道ストーブ列車がいました。これもいつか乗ってみたいです。
その五所川原駅で大半の乗客が下車し、一気に静かな車内になりました。ここからが五能線の本領発揮ということでしょうか。
遠くに日本海が見えてきました。いい感じに荒れています。
鯵ヶ沢駅で少し停車時間があったので外に出ました。「日本一のローカル線」で寝てしまったらもったいないので、ここで眠気を覚ましておきます。
鯵ヶ沢を出ると海に急接近します。既にほかの乗客はいなくなっていたので、窓を開けてみました。海の香りを全身で感じることができました。
千畳敷駅。奇妙な形をした岩が目の前にあり迫力満点です。
そこからほど近くのところに千畳敷海岸という海岸があります。「この特殊な地形を珍しがった津軽藩の殿様が千畳の畳を敷いて大宴会を開いた。」という逸話からこの地名がと名付けられたとか。
線路のすぐ目の前が海になりました。まるで海の上を走っているかのような錯覚に陥ります。まだ日本海もいい感じに荒れています。穏やかな晴れた海は太平洋でも見られますからね。
列車の窓を開けると、水平線まで何も邪魔をするものがありません。ただ潮騒とエンジン音だけが車内に響き渡ります。
眠気も疲れも吹き飛びました。日本一のローカル線、恐るべし。
かなりゴツゴツした岩場もありました。自然ってすごいです。ディズニーシーみたいな光景が自然の力だけで再現されています。
興奮冷めやらぬまま深浦駅に到着。五能線自体はまだ先があるのですが、この列車はここで終点です。
つづく