初回
前回
後半戦は秋田県の内陸部へ向かいます。まずは奥羽本線で大館へ。
「大太鼓の里」鷹ノ巣で停車時間があったので降りてみました。
降りてみましたが、太鼓の場所がよく分からなかったので出会えませんでした。事前に何も調べていなかったのが悔やまれます。
駅にはランプ小屋が残っていました。ランプ小屋はかつて燃料などを収納していた倉庫で、その性質からレンガ造りになっているのが一般的です。かつては多くの国鉄の駅に存在していたようですが、現存しているものはごくわずかとなっています。
建物財産標には明治32年8月と書かれていました。もし本当であるならば120年以上前のものであるということに。高度経済成長期の首相池田勇人が生まれたのがこの年の12月とのことなので、池田勇人よりも年上の可能性があるのですね。
ドア上の窓枠は木になっています。当時からのものなのか、あるいは途中で付け替えているのかは分かりませんが、いずれにせよ古いものだと思います。
長い歴史に裏打ちされている路線は、旅をするだけでこうした思わぬ出会いがあるのが楽しいです。
特急列車を見送り、旅を再開。
秋田県北部の都市、大館に到着しました。日が沈んできて寒いです。
大館駅は「きりたんぽと忠犬ハチ公の故郷」が売りになっているようです。駅の発車メロディもこれらにちなんだ曲になっていて、叙情的で少し切ないメロディが駅に流れます。
駅前にはハチ公の銅像がありました。奥の建物は秋田犬に関する展示を行っているとのことで入ってみようと思ったのですが、こちらもウイルスの影響で閉館中でした。残念。
さらに進むと、現在は使われていない線路がありました。ここにはかつて小坂鉄道という鉄道が走っていたそうです。現在も線路は残されており、当時の様子を窺い知ることができます。
寒くなってきたので駅に戻ろうとすると、ちょうどハチ公像に通りかかったところで雪が降ってきました。そういえば、ハチ公が渋谷で無念の死を遂げたのもちょうど3月の寒い日だったそうです。
駅に戻ってきた頃には本降りになっていました。大館駅の発車メロディの1つにもなっている『ハチ公物語』には、こんな一節があります。
"弥生の淡い雪が 故郷大館に舞う日 君は静かに時を止めた 幼い日の約束抱いて"
まさにハチ公が亡くなった日の大館もこんな天気だったのでしょうか。
ハチ公はすでにこの世にはいませんが、大館では今でも秋田犬と触れ合うことができる施設もあるようです。私は断然の猫派ですが、秋田犬は"めんこい"なと感じました。
雪の中でも列車は時間通りにやって来ました。『ハチ公物語』が流れて、時間通りに走りだしました。列車の中で涙腺が緩みました。きっと疲れていたのだと思います。
時刻表を見ると途中の追分駅で5分後に別の列車が来ることが分かったので、気分転換に乗り換えてみました。ところがこれが何故か遅延してしまい、結局秋田に着くのは10分以上遅れてしまいました。余計なことはしない方が良いですね。
秋田駅に到着。駅前のローソンで食料を調達したのですが、色々とビックリなお客さんが多いローソンでした(笑)
雪の中20分以上歩いて本日のお宿「白鳥荘」に到着。中に入ってもスタッフの方が誰もいなくて焦りましたが、奥の事務室にご夫婦がいらっしゃって無事に鍵を受け取ることができました。
こちらもある意味ビックリ旅館かもしれません。すごく昭和レトロな建物で非常に楽しかったです。お婆ちゃん家のような温かい雰囲気で、これまでのホテルとは明らかに一線を画す旅館です。
寒いので暖房を強に設定して寝ました。外はあられ(?)が降っていました。
3月11日【4日目】
移動距離…約447km
歩数…13447歩
つづく