前回
折り返しの列車が来たので乗ることにしました。駅舎と桜の木がとても素敵な良い駅でした。
列車は大井川とともに山を下っていきます。さすがは”越すに越されぬ大井川”、山奥なのに川幅がとても広いです。ダムがなかった時代は水量もすごかったのでしょうね。
家山駅
家山駅で降りてみました。
この駅は駅員さんがいたため無人駅ではないのですが、古い木造駅舎が残っています。
この駅発着のSL列車もあるようで、大井川鐵道の中では比較的大きな駅のようです。
家山は桜の名所としても知られており、「桜トンネル」と呼ばれる大規模な桜並木で人気です。(本当はそこまで行こうとしたのですが、道に迷ってしまったので諦めてしまいました…汗)
駅舎の内部です。木のぬくもりを感じる温かい駅舎です。有人駅なだけあって、整備や清掃も行き届いています。手軽に木造駅舎のレトロな雰囲気を味わうことができます。
ホーム。こちらも木でできた柱と看板です。これもかなり古いものと思われますが、手入れが行き届いています。
千頭行が来たのでそのまま乗りました。
この電車はかつては東京で走っていた車両ということで、車内を広めにとった通勤タイプになっていますが、大井川ではやや持て余し気味のようです。
地名駅
地名駅に到着。地名(じな)という地名です。不思議。
駅舎。ここは正真正銘の無人駅です。家山駅とは違い非常に素朴な雰囲気。素材本来の味を楽しむことができます。
ここでも時間が空いたので、画像左端に見切れている案内板を参考に歩いてみることにしました。
どうやら徒歩数分の場所に、赤レンガ造りの発電所跡があるとのこと。歩いて行ってみることにしました。駅を出ると、すぐに一面の茶畑。静岡らしい風景です。
‥‥案内板の情報を頼りに発電所があると思われるあたりまで歩いたのですが、何もありません。普通の民家があるばかりでした。場所としてはあっているはずなのですが……。
結論から言うと、そこには今は何もありません。グーグルマップにも登録されておらず、でも確かに案内板には書いてあり、おかしいなと思いよく調べると、老朽化のため数年前に取り壊されてしまったとのことでした。集落の中を何往復も歩いてしまい、ご迷惑をおかけしました。
せっかくなのでもう1つの"地名名物"を見に行きました。「日本一短いトンネル」という説があるこのトンネル。これは地名駅から線路沿いに歩いてすぐの場所です。これ以上近づくと完全に鉄道用地に入ってしまうため、安全な場所で遠くからの観察にしておきました。観光名所、といえるかはわかりませんが、いい記念になりました。
たしかに観光地としては弱いものの、地名駅は駅舎自体が非常に魅力的です。1930年(昭和5年)に建てられたとされるこの駅舎は、大規模な改修などは行われておらず、当時の雰囲気を色濃く残しています。
駅舎をよく観察すると、徳山村、中川根村という聞きなれない名前が。Wikipediaによると、徳山村は1956年に中川根村に編入され消滅した村で、その中川根村も1962年に中川根町となって名前が消えているそうです。(その後、川根本町に編入され中川根町も消滅。現在この駅は川根本町に所在しています。)
この駅舎の長い歴史を物語っています。
今にも土にかえってしまいそうな小さな駅です。 床は石でできていて、ひんやりとして気持ちよかったのが印象的です。
ホーム。屋根や点字ブロックは設置されておらず、質素です。地元ではないのに懐かしく感じるような、日本に住む人々の心の中に小さい頃からあるような、そんな駅でした。
とても素敵な駅です。ただ、発電所はもうないのでお気を付けください。
日が傾いてきましたが、列車が来たのでまだまだ行きます。
抜里駅
抜里という駅で下車。ここも珍しい地名です。
この駅ではお花が植えられていていました。「抜里花ともだち」と名付けられて、定期的に世話がなされているようです。
駅舎も木造です。「サヨばあちゃんの休憩所」という施設が併設されているようですが、この日はやっていませんでした。
駅舎内には写真がたくさん飾られていました。そして今にも落ちてきそうな天井も素敵です。地名駅は木造駅舎本来の味わいが楽しめる駅でしたが、こちらは人のぬくもりを感じます。サヨばあちゃん、駅員さんではないようですが、会ってみたかったです。どんな方なのでしょうか…?
つづく
2020/05/06:一部修正