大回り乗車というものをご存じでしょうか。例えば東京駅から新宿駅へ行くとき、中央線で行ってもいいし山手線で行ってもいい、というような規則がJRにはあるようなのですが、これを拡大解釈して、わざとすごく遠回りして移動すること(例えば、日暮里駅から土浦駅や小山駅を通って西日暮里駅に帰ってくる等)を、鉄道ファンの間では大回り乗車と呼ぶそうです。本当は色々細かいルールがあるのですが、簡単に言うとそんな感じです。
これを利用すると、百数十円で関東地方を一周できるということなので、今回はこれにチャレンジしてみました。
2020年11月17日
というわけで、朝6時に山手線の巣鴨駅にやってきました。ところで、この大回り乗車、ただ格安で旅行できるという単純な話ではないのです。実は、途中の駅で降りることができません。つまりどんなに有名な観光地に行ったとしても、それをせいぜい車窓から楽しむくらいしかできません。
私は計画性なく旅行をしたり、カメラを修理したりしたせいで、著しく金欠になってしまいました。それでも遠くに行きたい、そんな状況の人にのみおすすめします。
というわけで今回は、ここから160円の切符を購入して板橋駅を目指します。
第一走者は山手線。そこそこ混んでいるし、まだ旅という感じはしません。
秋葉原で乗り換えて、1駅だけ総武線に乗りました。この日は平日だったので、すでに激しい混雑になっていました。全く旅しているという感じはしないです。
中央線快速に乗り、ようやく東京都区部を脱出です。途中、景色がいい区間もありましたが、車内に人が多く、写真を撮れるような状況ではなかったです。
八王子で横浜線に乗り換え。横浜線って沿線に観光地がほぼ無いので、こういう機会でもないと乗らないですね。
東神奈川駅で京浜東北線に乗り換え。東京に次いで2つめの都道府県、神奈川県を制覇です。
そして品川に戻ってきたときの、何とも言えない無力感。ここからは千葉県を目指していきます。
千葉県に突入。東京と千葉は、ほとんど県境を感じさせないですね。どこまでも建物が連続しています。
千葉駅を出てしばらくすると、ようやく旅らしくなってきました。遠くの山も色づいていて、良い感じ。
成田駅で乗り換え。千葉県も無事に制覇です。
我孫子駅に到着。そろそろお腹が空いてきました。しかし、駅から出るわけにはいかない……。
そんな大回ラーの救世主、改札内で味わえる貴重なご当地グルメは、ここにあります。
我孫子名物巨大唐揚げです。本当は唐揚げそば(もしくはうどん)として発売されているのですが、量が多すぎるので蕎麦抜きにしました。これで160円。コンビニのチキンより安いですが、大きさはその3倍はあります。
お腹も満たされたところで、次はいよいよ北関東の茨城県へ。
南側よりもさらに紅葉が進んでいる感じですね。
茨城と栃木を東西に結ぶ水戸線に乗り換え。1時間に1本しか来ないようなので、注意が必要です。
笠間や下館などを通りながら、栃木県の小山駅へ向かいます。ずばり水戸と宇都宮を結んでいたら分かりやすいのですが、友部と小山というのが愛おしいです。
5都県目となる栃木県も制覇です。
あしかがフラワーパークを通る両毛線に乗り換え。これも1時間に1本です。
ロングシートで景色が見づらかったので、寝てしまいました。
目が覚めたら群馬県の高崎でした。乗り換え時間が迫っていたので、全集中の呼吸で乗り換えです。
とっくに日が暮れてしまいました。景色も見えないので、とにかく移動をするのみです。さすがに疲労を感じてきます。
そして最後の7都県目となる大宮駅に到着。1日で1都6県を制覇しました。感動です。
本日の最終目的地である板橋駅を目指します。
到着。普通は10分で行けるところを、14時間ほど掛けて移動してみました。間違いなく歩いたほうが早いでしょうね。
そして改札を通ったとき感じました。記録上では、1人の乗客が巣鴨から板橋へ移動したということのみが残るでしょうから、虚無感がすごいです。
後半はほとんど修行のようになってしまいましたが、我孫子で唐揚げを食べて帰ってくるだけなら楽しいと思います。
今度は房総半島一周でもしてみようかな。
おわり
移動距離:529.8km
歩数:7810歩