初回
前回
ホームに上がると、自由席の乗車位置には、既に列車を待つ人で列が形成されていた。
おおぞら3号が駅に入線してきた。この日はダイヤ乱れの影響で、使用される車両が変更になったそうで、多くの鉄道ファンがこの珍しい現象にカメラを向けていた。
ドアが開いたその瞬間、多くの乗客がなだれ込む。私はなんとか窓側の座席を確保することができた。自由席の車内を見回すと満席だった。周囲の乗客たちの会話によると、指定席の予約もすべて埋まっているということだった。
列車は、厚い雪化粧をした札幌の街を颯爽と駆け抜けていく。床下から聴こえる重厚なエンジン音からは、旅程を持ち直してくれる希望の響きを感じた。
南千歳を出ると、列車は人家もない秘境を走っていく。この石勝線は、普通列車の運行本数がきわめて少ないことで知られているが、それも納得しなければならない。
追分駅と新夕張駅の間では、野生動物が線路上に現れたということで、しばらく徐行運転を行っていた。
リゾート地として知られるトマムでは、大量の乗客が降りた。この辺りからは、車内にも空席が出てきた。
札幌から2時間ほど乗車し、予定通り新得駅で下車した。さすがは特急車両で、長時間の乗車でも快適に過ごすことができた。
新得駅は(現在は不通となっているものの)根室本線が分岐するターミナル駅であるが、この駅で降りる人は、さほど多くはなかった。
この駅は、洋風の洒落た駅舎を持っている。花壇も綺麗に整備されており、雪のない時期にも訪問してみたいと思った。
乗り継ぐ代行バスの出発まで、まだかなりの時間があるため、近くのスーパーで食料の買い出しを行った。ここではお弁当とお酒、またそのアテを買った。
駅舎に戻り、購入したお弁当を頂くことにした。せっかく新得まで来たのだから、お蕎麦を頂きたいと考えていたが、タイミングが合わず断念するほかなかった。
電光掲示板を見ると、代行バスが出発する前に、釧路行きの列車が出るようなので、これを見送ってみることにした。
線路沿いの小さい道から、列車を撮影してみた。白い車体が、青空に映える。
駅前に戻り、代行バスを待つ。このバスの運行本数は毎日4本である。不通となっている根室本線の代行という役割にくわえ、サホロリゾートへの送迎バスという性格も併せ持っている。
つづく