初回
前回
私はオホーツク海側の座席を確保することができた。やがて満席となった流氷物語号は、ゆっくりと動き出した。
海が見えてくるまでの間にも、観光ボランティアが色々な話をしてくれた。流氷は、気温や風向きによって常に状況が変わるため、見られたら幸運なのだと教えてくれた。
列車はオホーツク海に近づいた。前日より明らかに流氷が増えているのがわかる。
しかしボランティアの方のお話では、この日の風向きから見るに、斜里側ではこれ以上に着岸している可能性があるという。
その前に列車は一度、北浜という駅で停車する。ここでは10分の停車時間が設けられている。
駅舎の内部には、名刺などが一面に貼り付けられている。
オホーツク海に最も近い駅である北浜駅。併設されている展望台にも上ってみることにした。
上からよく見ると、海上に小さなシャーベット状の氷がいくつも流れているのが見える。これは氷泥(ひょうでい)といい、流氷の素になるものだという。
再び列車に乗り込み、知床斜里を目指す。
列車は一度海から遠ざかるが、この後が最大の見どころである。
知床斜里の手前で、釧網本線の線路はオホーツク海に最も接近する。ここでは流氷を明らかに確認することができた。厳寒のオホーツクならではの貴重な光景に、車内でも歓声が上がった。なおこの区間では、線路と海の間に道路が通っておらず、鉄道を利用しなければこの光景を見ることが出来ない。
興奮冷めやらぬなか、列車は終点の知床斜里駅に到着した。
駅舎は、かなり独特なデザイン。ここからバスに乗り換えて、知床をさらに満喫することもできる。私はこの後、釧網本線の駅をめぐってみる予定であった。
しかし、事件は起こった。
つづく