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黒部峡谷鉄道の終点である欅平は、山あいにある秘境である。黒部峡谷鉄道の他にアクセス手段はないが、この日は多くの人で賑わっていた。
まずは欅平を象徴する名所である人喰岩を見学する。道を通すためくり抜かれたこの岩肌は最近補強工事が行われたようで、案外のっぺりとした印象を受ける。一応ヘルメットが置かれているが、特に恐怖感はないため誰も着けていなかった。
人喰い岩をくぐり、その先にあるトンネルを抜け、さらに峡谷沿いの道を歩いていく。この辺りでは天然の岩肌が残されている。欅平は麓の宇奈月よりも一段と寒く、神秘的な雰囲気が漂う。
駅からあわせて10分ほど歩くと、名剣温泉という温泉施設がある。ここまで歩いてくる観光客はそれほど多くないようで、この日はやや閑散としていた。今回はせっかくなのでここで一休みすることにした。
受付で料金を支払い、峡谷にせり出した細い通路を通り温泉へ向かう。薄い板で作られたこの通路もなんだか頼りなく、結構なスリルがある。
ここでは険しい黒部峡谷を眺めながら、ほんのり硫黄の香る温泉を楽しむことができ、気軽に秘湯の雰囲気を味わえる。お湯は熱かったが気温が低かったため、思わず長湯してしまった。
湯上りには、キンキンに冷えた「峡谷の名水」を頂ける。こちらも非常にすっきりとした美味しい水である。
そろそろお腹が鳴り始めてきたので、駅へ戻っていくことにした。
欅平駅の2階部分は、レストイン欅というレストランになっている。適当なお店も見つからなかったため、昼食はここで食べることにした。
様々なメニューがあり迷ったが、この店の名物だという漬け丼を頂くことにした。こんな山奥で漬け丼というのも不思議な感じだが、黒部漁港で水揚げされた魚を使用しているとのこと。ワイルドな魚の風味を感じられて美味しかった。
ここでは他にも、ブラックラーメンや白海老の天ぷらなど富山ならではの食事をとることができる。
さらにその上のフロアには展望台が設置されている。急峻な渓谷に赤い橋がアクセントとなり、ここからの眺めもまた絶景である。こうしてみると、よくぞこれほど山深い場所に観光地を作ったものだと思う。
つづく