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※このブログ記事は、1999年に公開された日本の映画「鉄道員」のネタバレを含んでいる可能性があります。
代行バスがロータリーに入ってきた。意外にも大型の観光バスタイプの車両が使われている。
最も眺望のいい前列の座席に座ることができた。乗客は、私を含めて3人しかいなかった。石勝線の特急列車が大幅に減便されているということも影響しているのかもしれない。
バスは市街地を抜け、狩勝峠を進む。
この区間は、かつては列車が走っており、日本三大車窓のひとつに数えられていた。しかしこの鉄道は後に移設されたため、この車窓は見られなくなっていた。バスから見られるこの車窓は、久しぶりに復活した奇跡の車窓といえる。
列車は、映画「鉄道員」のロケ地として知られる幾寅駅にも停車する。根室本線のこの区間は、路線諸共廃止されることが決まっており、劇中の「幌舞線」や「幌舞駅」と同じ運命を辿ることになってしまった。
駅前の「だるま食堂」のほか、高倉健さん演じる主人公、佐藤乙松駅長と運命を共にした「キハ」も展示されている。
この駅もぜひ降りたいところだが、バスの本数が少なすぎるため、今回は断念しなければならなかった。
新得から1時間ほどバスに揺られ、東鹿越駅に到着。山間にある秘境駅だが、現在は列車とバスの乗り継ぎ駅として賑わっている。
木の温もりが感じられる良い駅舎もある。
ホームにも雪が積もってしまっている。接続列車は、まだ来ていなかった。
しばらくすると滝川行きの列車が入線してきた。これに乗り込み、一度滝川を目指す。
ボックスシートが並ぶレトロな車内。これぞローカル線である。
この列車には、どういうわけか5人の乗客がいた。
列車が動き始めたあと、新得のスーパーで買った酎ハイとフライドポテトを開けた。
缶を開ける音が車内に響いた。
ディーゼルエンジンの音を聴きながら雄大な車窓を眺めていると、酒が止まらなくなる。
車窓からは、ときどきエゾシカが逃げていくのが見える。
ごくまれにキタキツネも現れる。冬毛のキツネは、なんと可愛らしいことだろう。
列車は富良野を越えて、引き続き滝川を目指す。沿線には、自動車を止めて撮影に訪れている人も多くいた。
東鹿越から1時間40分ほど揺られ、滝川駅に到着。
駅から近くのセイコーマートまで歩き、夕食を調達した。寒い道を歩いていると、酔いも醒めてきた。
折り返しの快速列車で、富良野まで戻る。
車内で夕食を取ることにした。せめてもの北海道らしさを感じたいということで、生クリームのカルボナーラと、豚丼おにぎりを頂いた。
せっかく温めてもらったパスタは、わずか10分の道中で冷えきってしまっていた。
富良野駅に到着。ここから歩いて、宿を目指す。
この日の宿はHOSTEL TOMARという簡易宿泊施設である。
シェアキッチンで夜食としていたカップ麺を開けた後、この日は床に就いた。
つづく
つぎ