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2022年5月22日
翌朝5時。やることもないので街に繰り出すことにした。やや強い雨が降っていたが、この街では傘をさすは必要ない。
なぜなら、ここ高田には、雁木通りが整備されているからである。風情ある通りを散歩する。贅沢な時間が流れていく。
町内の流れる儀明川。川岸には、桜が植えられている。春にはさぞ華やかなことだろう。
商店街で食料を仕入れ、駅に向かう。
高田駅は、お城をイメージしたデザインの駅舎になっている。
と見せかけて、実際に駅舎として機能しているのはこの部分だけである。この巨大なアーケードも雁木としての機能を持っている。
長いプラットホームに、かつて大幹線だった時代の面影が垣間見える。いわゆる「新潟色」と呼ばれる、懐かしい色を纏った電車が来た。この日も旅が始まった。
空いているロングシートの車内には、大パノラマが広がる。
10分ほど列車に揺られ、北新井という駅で下車。
私の他に利用客はいなかった。
小さいパステルカラーの駅舎は、非常に綺麗に管理されている。
雪化粧をした山々を背景に、田植えを終えたばかりの田園が広がる。雪解け水が米作りに欠かせない水源であることがよくわかる。
鳥のさえずりが聴こえるだけの駅に、遠くから列車のジョイント音が響いてくる。
この日も幸先良い旅の始まりとなった。
春日山駅で下車。
ここは上杉謙信の故郷としても知られているが、今でも活気ある街である。
駅周辺には謙信の資料館などがあるようだが、さすがに時間が早いため閉まっていた。ここもいつか再訪しなければならない。
たくさんの学生たちが待つホームに、4両編成の列車が堂々入線する。
南高田という駅で下車。私のほかに何人かの学生もここで降りた。
小さい駅舎の前には沢山の自転車が止めてある。付近には学校が複数あり、日曜である本日も部活動に参加する生徒で賑わっていた。
この駅舎も、JR以前の国鉄時代から活躍している。今となっては小さなローカル線の駅だが、かつては毎日何本もの特急列車を見送っていたことだろう。
つづく